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社保(旧政管健保、今は協会けんぽ)加入者と特定健診

10月1日より政管健保が協会けんぽに変わりました。
(関連記事→10月から、政管健保が協会けんぽへ

これに伴い、政管健保加入者の特定健診・特定保健指導受診がややこしくなってます。

1.都道府県支部が対応
2.年間の受診予定者数に達したら年度途中でも受付け終了。
3.市町村国保が行う特定健診は利用できない。
4.被保険者と被扶養者で健診を受けられる場所が変わってくる。

1.について
協会けんぽでは、「地域の特性云々」で基本的な運営は、都道府県支部が担うことになりました。(このため、全国一律だった保険料にも差がでてきます)
社保庁の組織ではなくなったため、社会保険事務所ではなく、各都道府県に一ヶ所ある都道府県支部が窓口です。(こちらを参照→http://www.kyoukaikenpo.or.jp/6,620.html

2.について
協会けんぽのサイト(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/7,1809,21.html)には下記のような注意書きが
お申込み上の注意事項
この健診は、限られた予算の範囲内で行っております。年間の受診予定者数に達し次第、年度途中であっても受付を終了いたしますので、あらかじめご了承ください。
また、各健診実施機関は、年間に受け入れられる受診者数に限りがございます。したがいまして、健診実施機関ごとに年間の受入可能人数に達し次第、順次受付を停止いたしますので、あらかじめご了承ください。


3.について
特定健診・特定保健指導は、保険者に実施義務があります。
このため、市町村が行う特定健診・特定保健指導は、全住民ではなく、市町村国保の加入者のみを対象としています。
・協会けんぽ加入者については、協会けんぽが
・大企業などが運営する組合健保については、組合健保が
・公務員が加入する共済組合については、共済組合が
実施しますが、自前で実施しない保険者は、健診業務を委託しています。

協会けんぽについてはこちら(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/7,0,29.html)から確認できますが、市町村国保に委託しているケースは、離島へき地の町村国保のみであり、「原則は医療機関や健診センター、ただし特定健診を実施できる医療機関がない離島へき地などは地元の町村国保に委託する」という方針のようです。

従って、離島へき地以外にお住まいの方については、市町村が実施する健診を受けることができません。

4.について
被保険者と被扶養者(家族)では、申し込み方法も受診できる健診機関も異なっています。
こちらを参照(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/7,1809,21.html#hihuyousya


(1)協会けんぽが事業所を通じて、被扶養者に「特定健康診査受診券申請書」を配布するので
(2)申込書に必要事項を記入すると
(3)協会けんぽが事業所を通じて発行する「特定健康診査受診券」が届き
(4)協会けんぽと契約している健診機関(こちらから検索可→http://202.229.151.1/…が例外があるらしい)に申し込み、受診
(5)健診結果は直接本人へ

という、ややこしいルートになりました。
しかも、市町村国保と協会けんぽ(旧社保庁)の周知不足により、知らない方が多いみたいですので、協会けんぽ(旧政管健保)の方は、ご注意くださいチョキ  

特定保健指導への企業の取り組み/はらすまダイエット等

特定健診・特定保健指導制度で本格化-電機・情報各社、対策に自ら“汗” 朝日新聞(2008.8.14)
連日の猛暑―。疲れは徐々に蓄積されていくだけに、日ごろの体調管理を怠るわけにはいかない。注意しなければならないのは夏バテや熱中症だけではない。4月に特定健診・特定保健指導制度が始まり、メタボリック(内臓脂肪型肥満)症候群への気配りがより重要となっている。電機・情報サービス各社は健康管理にITの活用を推奨する一方で、“脱メタボ”対策で自ら汗をかく。各社の取り組みを探った。(編集委員・斎藤実、土井俊、水嶋真人)

特定健診・特定保健指導は、保険者に実施義務があります。
そのため、自前の健保組合を持っている大企業は、従業員に対して「特定健診・特定保健指導」を実施していかなければなりません。
大きな所では特定健診・特定保健指導の対象となる従業員が数千人・数万人という規模になるところもあり、費用も馬鹿にはなりません。

そこで、電機メーカーや情報サービス各社は、「自分たちの売りを生かしたシステムをつくり、従業員に対して特定保健指導を実施するとともに、それを商品として利用できないか」と考えているようです。

有名なのは、日立製作所産業医科大学公衆衛生学研究室、そして損保険ジャパン総合研究所が共同で開発した「はらすまダイエット

◇はらすまダイエットについての参考リンク
減量プログラム「はらすまダイエット」の遠隔指導支援システムを試作 日立製作所(2007.5.24)
日立,「はらすまダイエット」の遠隔支援システムを試作 Tech-On!
実践!はらすまダイエット healthクリック

企業が従業員への試用を通して構築した特定保健指導プログラムの強みは

○従業員に対して実際に試用しており、プログラム自体が鍛えられている。
○「仕事が忙しく自身の健康を省みる余裕がない」という、行動変容が難しい層に対するノウハウがある
○企業があるがゆえに、費用対効果が重視、指導側・対象者双方に無理がない

という点だと思います。

実際、「はらすまダイエット」は3枚のカードを利用することで・・
と、参考資料を探していたら、わかりやすいサイトを発見。

内臓脂肪撃退プロジェクト はらすまダイエット 大塚製薬

気になる方は、上記リンクからどうぞ。
NHKの「測るだけダイエット」と岡田斗司夫さんの「レコーディングダイエット」、そしてこの「はらすまダイエット」の3つは、保健師としておすすめです。  

毎日新聞「奈良の産科医療改善まだ途上」

妊婦転送死亡:発生2年 産科医療改善まだ途上、医師や看護師不足に課題 /奈良 毎日新聞(2008.8.9)
一昨年8月の大淀町立大淀病院(大淀町)の妊婦死亡問題を受け、県内ではこの2年、周産期(出産前後の母子双方にとって注意を要する時期)医療の改善が加速した。しかし、昨年8月には橿原市の妊婦が搬送中に死産した。医師や看護師不足を中心に残る課題も多く、体制整備はまだ途上だ。

(中略)

この2年間で実現した改善は少なくないが、医師や看護師不足など、容易でない重要課題に解決の道筋はついていない。県などは、今年度設置した地域医療対策の協議会の議論で、現状打開に向けた模索を続けている。

毎日新聞がどの口でそれを言うのかと。崩壊させた張本人なのに。

◇参考リンク
大淀町立大淀病院事件-事件の影響とマスコミの反応 Wikipedia  

大和総研の興味深いコラム「メタボ健診導入の本当の目的とは」

メタボリックシンドロームの概念を取り入れ、今年度から始まった「特定健診・特定保健指導」

現場としては「生活習慣病にかかる医療費を抑えるために、メタボリックシンドロームの概念を導入し、メタボリックシンドロームに特化した特定健診・特定保健指導を行うことで、早期介入を行い、生活習慣を適正化し、生活習慣病の発症を防ぐ」という流れで、取り組んでいるのですが

一方で、「メタボリックシンドローム対策により医療費削減になったというエビデンスがない」「そもそもメタボリックシンドロームの基準、特に腹囲に問題がある」との指摘もあります。(下記記事参照)

メタボの診断基準と「そもそも論」(2007.11.3)

にも関わらず、国が「持ち上がった問題点を再検討せず」メタボ対策に邁進しているのは
「別の目論見もあるからではないか?」
という、興味深く鋭い指摘が大和総研のコラムに掲載されていました。


メタボ健診導入の本当の目的とは 大和総研(2008.2.25)
このように数々の疑問点が指摘されているにもかかわらず、政府当局がほとんど中身を修正せず、政策を推し進めているのはなぜなのだろうか。筆者は、メタボ対策はあくまで口実であって、本当の目的は、増え続ける高齢者の医療費を如何に不満が出ない形で現役世代に負担させるか、であると推測している。

内容を斜め読みしてみると、下記のような感じですが
○現在は老健拠出金という形で高齢者医療費の5割を現役世代が負担している。
○後期高齢者医療制度では「後期高齢者支援金」という形で4割を現役世代が負担。
○「後期高齢者支援金」は特定健診・特定保健指導の参酌標準(目標値)の達成に応じて±10%のインセンティブがある。
○一見自助努力によって負担が減るように見えるが(今後、後期高齢者にかかる医療費は増えていく試算なので)現役世代の負担も増えていく。
○そもそも、現役世代の「メタボ度」と、現役高齢者の「医療費」は直接リンクしているわけでないのに、リンクさせて「達成できないと支援金増」としている所がおかしい。

医療経済の専門家の視点で国の「メタボ対策」を見ると、ただ単に「国民の生活習慣病予防と医療費削減」だけではない、別の目論みが見え隠れしている(っぽい)ことが、呈しているようです。


◇参考リンク
メタボ健診導入の本当の目的とは 大和総研
メタボの診断基準と「そもそも論」  

特定保健指導、85%の自治体で無料のワケ

メタボ健診、無料指導8割…財政難に追い打ち 読売新聞(2008.5.12)
□低受診率での罰則回避

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防のため4月から始まった「特定健診・保健指導(メタボ健診)」で、全国の市町村のうち健診を受けて新たに行う保健指導を無料にするのは、85%に上ることが読売新聞の調査でわかった。
無料化は、保健指導の実施率(受診率)などが低い市町村にペナルティーとして科せられる後期高齢者医療制度(長寿医療制度)への負担増を回避する狙いがある。一方で9割の市町村が国に財政支援を求めており、財政難と新制度との板挟みに惑う市町村の実態が浮き彫りになった。

確かに、特定保健指導の無料化は財政負担にはなるんですけど・・・
85%もの自治体が無料化を選んだのにも理由がありまして・・・

「自己負担導入で受診者減になって国の基準を達成できずペナルティ払うよりは、無料化にしてペナルティを回避した方がいい」

という、理由です。


下記で、試算をしてみました。長くなりますが、興味のある方は、ぜひご覧ください。
自治体をはじめとした医療保険者が、受診率向上にがんばっている理由がわかるかもです晴れ

◇どうして無料化にした方がいいのか!?の試算

1.後期高齢者支援金の試算

2007.11.16の記事「特定健診・特定保健指導情報(3)ペナルティの試算」で
おおざっぱに試算してみましたが

人口10万人(国保加入者2万人)のB市の後期高齢者支援金負担は6億4800万円となります。

ただ、中日新聞(2008.5.16朝刊)によると「2008年度の後期高齢者支援金は平均で約3万1000円」らしいので、2万人×約3万1000=約6億2000万円がより正確ですね。
(おお!おおざっぱな試算な割には、当たっていたパンダ)


2.ペナルティの試算

さて、特定健診・特定保健指導では、国が示した基準(行政用語では参酌標準。注:一番下に載せました)をクリアしないと、ペナルティが科せられます。

ペナルティの内容は「基準をクリアしないと、後期高齢者支援金を10%多く支払ってね」
というものであり、約6億2000万円の10%となると6200万円也です。


3.特定保健指導にかかる費用

ここからまた、B市(人口10万人、国保加入者2万人)に登場してもらって「おおざっぱな試算」をしますが

 ・特定健診受診率:20%×国保加入者2万人=特定健診受診者数4000人
 ・受診者のうち積極的支援:15%=600人 積極的支援2万円とすると1200万円
 ・受診者のうち動機付け支援:10%=400人 動機付け支援5000円とすると200万円
  (受診率や積極的支援等の割合、費用は国の推計に基づきます。うろ覚えです)

特定保健指導にかかる費用は合計で1400万円となります。

4.まとめ

特定保健指導の無料化にかかる費用1400万円
基準を達成できなかったときのペナルティ6200万円

と、おおざっぱな試算が出ました。(ざっぱなので間違っていたらごめんなさい)

ところで、健診受けた後に「特定保健指導が必要なのですが、メタボリックシンドロームなので積極的支援となります。保健指導料は2万円です」と言われて、特定保健指導を受ける方がいるかは微妙です。
1割の「2000円」と言われても、国の基準値の45%もの方が受けてくれるかは・・微妙です。
でも、無料にすると受けてくれる方が増えるはずです。

となると、1400万円かけて6200万円を回避した方がいいわけでして
85%もの自治体が特定保健指導無料化に踏み切ったのは、こういった理由があるからです晴れ


5.お願い

後期高齢者支援金は、保険税(保険料)でまかなわれています。
そしてペナルティとなると、保険税増となる可能性が出てきます。

特定健診・特定保健指導は、
自分の身体の状況を知り、生活習慣を見直すことで病気を予防できる機会です。

そして、保険税増の回避にもつながります。

受診よろしくお願いしますm(__)m

◇特定健診・特定保健指導のお問い合わせ先
 ○国民健康保険(国保)加入者→お住まいの市町村
 ○政管健保・船員保険介入者→お近くの社会保険事務所
 ○組合健保・共済組合加入者→勤め先の担当者
 ○国保組合加入者→勤め先の担当者



◇参考資料:国が示した基準
 1.特定健康診査の実施率(受診率)
  ・H24年度の受診率が60%以上
  ・H27年度の受診率が80%以上
 2.特定保健指導の実施率
  ・H24年度の対象者の45%以上
 3.メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少率
  ・H24年度のメタボ該当者・予備軍は、H20年度よりも10%以上減


◇関連記事
特定健診・特定保健指導情報(0)はじめに(2007.11.10)
特定健診・特定保健指導情報(1)保険制度の概要(2007.11.12)
特定健診・特定保健指導情報(2)後期高齢者医療制度(2007.11.16)
特定健診・特定保健指導情報(3)ペナルティの試算(2007.11.16)
後期高齢者にふさわしい医療は「90日以上は入院するな」?
定保健指導、85%の自治体で無料のワケ(2008.5.27)
90日入院制限の後期高齢者特定入院基本料が凍結へ(2008.8.6)

◇参考リンク
平成20年 4月から健康診断制度が変わります! 南風原町役場