夕張医療センターが夕張市と北海道を批判「責任放棄だ」

「地域守る責任放棄」 夕張医療センター、道・市を批判 朝日新聞(2008.5.1)
北海道の旧夕張市立病院を公設民営診療所として引き継いだ夕張医療センターの経営危機問題で、同市の前病院経営アドバイザー、伊関友伸・城西大准教授が30日、記者会見し「センターは黒字経営の医療をしているのに、老朽施設の維持費で資金不足に陥っている。財政破綻(はたん)の市に代わって地域医療を守るべき道の責任は大きい」と述べ、トップの高橋はるみ知事の責任に言及しながら厳しく批判した。

同席した同センター長の村上智彦医師も、市側がセンターの「経営努力の必要性」を指摘したことに対して「訂正しないなら、我々はここを立ち去るつもりだ」と怒りをあらわにした。

2007年3月に財政再建団体に認定された北海道の夕張市ですが
その夕張市が運営していた夕張市立総合病院は

 ○病院事業会計を(市の会計の)不適切な会計操作の場として利用
 ○診療報酬請求漏れが多い上に、患者の未払いは放置(職員アンケートより)
 ○一時借入金が平成4年に10億円、赤字は40億円を超えたのに抜本的改革をしない

ということから、財務状況は悪化していた上に

 ○医師の給与は300万円安い(卒後15年目、道内平均比)
 ○准看護師は110万円高い(全国平均比)
 ○コメディカルや現業職、事務職は70-200万円高い(全国平均比)
 ○古株が幅をきかす(職員アンケートより)

といったことから、平成15年頃から医師・看護師の退職が相次ぎ、財政再建団体になった頃には、医師数の絶対的不足により「病院存続すら危ぶまれる」という状態でした。


そこに助け船を出したのが、北海道瀬棚町(2005年9月1日に北檜山町・大成町と合併し、せたな町へ)の瀬棚町国民健康保険医科診療所で働いていた村上智彦医師(←クリックでWikipediaに飛びます)です。

村上医師が瀬棚町で取り組んでいたのは「地域医療」と「予防医療」

保健師が各家庭を回り保健指導を繰り返すことで、むだな投薬や検査を減らす「予防・地域包括ケア」を実践し、就任前の99年には約106万円だった1人当たりの老人医療費を退任時には77万3678円にまで改善させた。

と、「予防医療と言えば瀬棚町」「予防医療と言えば村上医師」というぐらいの有名な先生なんですが
ただ、合併後の「せたな町」の新町長が「道路や産業が優先」と主張し、予防医療に制限を加えたため退職。これについては、下記の記事が詳しいです。

地域医療先導 医師去る せたな町 朝日新聞(2006.3.10)

と、このように地域医療・予防医療の実践家として結果を出している村上医師が「夕張市民のためになるなら」と旧夕張市立病院を公設民営診療所として引き継いだ夕張医療センターのセンター長に就任しました。

が、夕張市側は村上医師一人のみ頃から「救急もやって」だのと、無理を押しつけ・・・というか
「やっときた医師を使い捨て」にするようなことを本人に頼んだりしていましたが

今度は「センターは黒字経営。だけど市から譲り受けた施設がボロ年季が入っているため光熱費が無駄に3000万円かかっているので資金不足」という医療センターに対し

「人件費が高いんだよ、経営努力が必要だろ」と指摘したそうです。

「市民のために」とかけつけた医師に対し、医療介護を丸投げした上に
上記のような発言をする夕張市ですが、「今度、撤退されたら再びくる医師なんていない」
ということを理解しているのでしょうか雨

◇参考リンク
夕張市公式ホームページ
夕張医療センター
夕張の診療所が危機 札幌テレビ放送  

「紹介状に暴力歴記入」は必要悪か?

紹介状に患者の暴力歴/本島中部の病院 沖縄タイムス(2008.4.23)
交通事故で頚椎ねんざを負った四十代の男性が、本島中部の病院から別の医療機関に転院しようとした際、医師が作成した紹介状(診療情報提供書)に、治療に関係しない警察での取り調べ歴などの情報を記載されたとして、プライバシーの侵害を訴えている。病院側は「紹介先で万が一のことがあれば病院同士の信頼関係が崩れかねない。治療に必要な情報と判断すれば提供する」と説明するが、疑問の声も上がっている。

(略)

「行き過ぎだ」「理解できる」―。病院側の対応にさまざまな声が上がった。

患者の目で医療を考えるNPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」(大阪市)の山口育子事務局長は「既往症や薬の服用歴などは治療方針に影響する重要事項だが、けがの治療に過去の取り調べの情報まで必要とは思えない。紹介先に『危険な患者だ』という先入観を与えてしまうのも問題ではないか」と危惧。

個人情報保護法に詳しい永吉盛元弁護士は「仮に患者に何か問題があっても、『慎重に診療することが望ましい』といった表現にとどめるなど、プライバシーを侵害しないよう細心の注意を払うべきだ」と指摘した。

リンク先だけでは情報が少ないのですが、院内でも暴力歴や問題行動があったのであれば
受け入れ側にとっては「必要な情報」であると思います。

知っていながら情報提供していなければ、受け入れ側にとっては「問題患者をその情報を隠して押しつけられた」となり、今後の連携が難しくなりますし・・・「危険な患者」であるのなら、「危険な患者」だという情報は、診療上必要ではないでしょうか。

ただ、院内でコンプライアンスを守れていたのであれば、「過去の取り調べ歴」まで提供するのは行き過ぎ感もあると思いますが・・・実際がどうなのか不明なだけに、難しいところですね。  

保育所におけるモンスターペアレンツ

「親の朝食も用意して」 !? ”保育所クレーム対応事例集”を作成。 livedoorニュース(2008.4.4)
「朝は忙しいので親の朝食も用意して」「ブランドの服は、後でネットオークションで売れなくなるから、名前を書きたくない」――。
本気で言ってるの?と唖然としてしまいそうなクレームあり、一考の価値あるクレームあり。
富山市が、実際に保育所に寄せられた要求から、冊子「保育所クレーム対応事例集」を作成した。

しばしば取り上げられ、問題になっているのが、学校などに無理難題を押しつけたり、理不尽な要求をしたりする「モンスターペアレント」。
富山市では、市内の保育士ら約1200人が加盟する「市保育連盟」に委託して、冊子「保育所クレーム対応事例集」を作成した。冊子は、実際に保育所に寄せられた苦情など60件から、18件の保護者とのやりとりなどを紹介、実際に現場であった事例を、これからの対応に生かす。

とはいえ、今の親だって、無理難題を言う人ばかりではない。例えば、「子どもが夜になかなか寝ないのは、保育所での午睡時間が長すぎるからではないか」という意見では、保護者との懇談で考え方を確認、昼寝をしないように試してみたというケースも。
冊子には、保護者の多様な価値観を認め、きちんと説明するなど対応のポイントのほか、施設で紛失したものの弁償の有無など顧問弁護士のアドバイスも載せたという。
今後、87保育所に配布し、研修のための資料として活用する。市こども福祉課は「スムーズに対応することで、保護者の支援にもつなげたい」と話している。


その18件については、J-CASTニュースに詳細が掲載されています。
下記にはタイトルを載せていますが、リンク先には事例の詳細が載っています。

モンスターペアレント実態赤裸々 無理難題と理不尽全18例掲載 J-CASTニュース(2008.4.12)
○子供と親の分、保育所で朝食を用意して欲しい
○写真撮るときには、背の低い子供の並べ方に配慮して
○保育料も、教材費も、遠足のバス代も払わない
○会社に遅刻するからオムツ替えは保育所でやって
○水筒に名前入れると「ネットオークションに出せなくなった。弁償して」
○被害妄想の強い母親「保育士がうちの子を後ろから突き倒した」
○夜遅くまで起きているのは、保育所のせい
○「なんで救急車呼ばんかったか!」父親が怒鳴り込む
○「牛乳はよくない。冷たいジュースも」給食食材に異常な要望
○ケガしたら弁護士に相談
○ブランド品の下着、「名前は入れたくない」
○前に病院でもらった薬を飲ませて欲しい
○「アレルゲン食品を与えたのではないか」と邪推
○「うちの子供が嘘をつくわけがない」と保育士解雇を要求
○母親の精神不安定、「保育所側のせい」
○保育所でシラミもらったに違いないと信じ込む
○我が子が友達からいじめられている!

なかには「(゚Д゚)ハァ? 」といったものもありましたが
○夜遅くまで起きているのは、保育所のせい

1歳の誕生日を迎えた女児の母親が、「夜なかなか寝ず遅くまで起きているのは、保育所で好きなだけ寝かせているからではないか」と言ってきた。担任は、午睡の長さや時間帯、日中の休息の必要性などを説明したが、なかなか理解してもらえず、「夜早く寝かせたいので、午睡時間は1時間にして欲しい」と要望してきた。その後、保育所では、女児が熟睡していても、起すことにした。

数日後、起されている時の不機嫌な女児の様子を母親に伝えると、母親は「午睡時間を短くしてもらっても、子供が夜遅くまで起きている。夜遅くまで子供に付き合っていると、働いている自分の体が休まらないので、保育所での午睡はなくして欲しい」と言う。

など、はじめから「クレーム」と否定するのではなく、保護者と面談した上で、改善を試みたケースもあるそうです。(上記のケースではそれでも夜遅くまで起きているので「午睡をなくして欲しい」ということになったようですが)  

石川県立中央病院長「医師が移動できない仕組みが必要」

社保会議、地方の医師不足議論・金沢で意見交換会 日本経済新聞(2008.4.24)
政府は24日、地方の社会保障を巡る課題や対応策について議論する「社会保障に関する地方意見交換会」を金沢市で開いた。福田康夫首相が主催する社会保障国民会議の一環。政府からは伊藤達也首相補佐官(社会保障担当)が出席し、医師不足問題を中心に現地の有識者と意見を交換した。

石川県立中央病院の山田哲司院長は、医師の流出で医療サービスが提供できない地域が生じる可能性を指摘し「医師が自由に病院を移動できる今の仕組みを見直すべきだ」と主張。他の医療関係の委員からも「医師の集約と役割分担が必要だ」との意見が続いた。

伊藤補佐官は会議終了後、記者団に「今の地域医療のシステムのままでは現状の医師不足問題を解決することは難しい」と述べ、国民会議で住民ニーズを満たすための医師確保策を検討する意向を示した。(24日 22:30)
「医師が自由に病院を移動できる今の仕組みを見直すべきだ」と主張。他の医療関係の委員からも「医師の集約と役割分担が必要だ」が気になったので、魚拓を兼ねて記事に残しておきます。  

滋賀県立病院「医師不足だから残業代は出しません」

医師でも『名ばかり管理職』 滋賀県立病院に是正勧告 東京新聞(2008.4.23)
滋賀県守山市の県立成人病センター(河野幸裕病院長)で、管理職の医師が、権限がないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」の状態に置かれているとして、大津労働基準監督署が労働基準法に基づく是正勧告をしていたことが23日、分かった。

名ばかり管理職をめぐっては、未払い残業代の支払いを求める訴訟や労働審判が相次いでいる。公立病院にも同様の問題があることが明らかになったが、センターを運営する県病院事業庁関係者は「医師不足が要因となっている」と説明している。

(中略)

同事業庁の谷口日出夫庁長は「勧告を受けたのは誠に遺憾。今後、専門家を交えて協議し早急に対応したい」と話している。

センターは、がんや循環器、脳神経疾患などの三大生活習慣病に対する拠点病院として1970年に創立。4月1日現在で、病床数は541、常勤の医師77人。2006年度の入院患者は延べ約13万8千人。外来患者は約22万8千人。

「医師不足なので管理職にある医師も一般の医師と同じように働いてもらった」まではわかりますが、「残業代を払わない」ことについて、「医師不足だから」は論理的にどうなんでしょうか?