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福岡市立こども病院、デメリットだらけの人工島へ移転

福岡市立こども病院が人工島に移転しますが、市民・家族・患者は猛反発してます。

こども病院 人工島移転 「説明足りぬ」家族失望 市民団体が抗議活動 西日本新聞(2008.7.29)
福岡市が、市立こども病院・感染症センター(中央区)の人工島移転を正式決定した28日、こども病院の利用者や市民団体は、市役所での抗議文提出や街頭署名活動を相次いで実施した。人工島移転への理由や説明が十分ではないと訴える家族らは、移転を決めた市への失望感を色濃くした。
「市の中心から遠い人工島。子どもの命を救う点で、私たちの不安が解消されていない」


○福岡市立こども病院移転関連の地図
福岡市立こども病院移転関連の地図

現在、福岡市中央区唐人町(福岡ヤフードームの近く)にある、市立こども病院が、東区香椎浜沖につくった人工島「ふくおかアイランドシティ」に移転されます。

人工島への移転は市民・患者・家族にとってはデメリットだらけにもかかわらず、市側が強引に「人工島移転ありき」で進めていたのですが(市民・患者・家族の希望は現地立て替えor九州大学跡地)、市の主張するメリットがことごとく「うそ」だったという指摘がでてきました。

1.現地立て替えはお金がかかる
現地立替工事費は調査委託を受けた業者の報告書では「85億5千万円」だったけど、市が「安すぎるから1.5倍」ということで市の報告書では「128億3000万円」と記載したことが明らかに。ちなみに、1.5倍の根拠はなく、また人工島の土地取得だけにかかる60億円はスルー。1) 2) 3)

2.人工島だとヘリポートも設置できる
福岡空港特別管制区に入っているため、VFR(有視界飛行方式:指定高度内で自由に飛行できる。ヘリコプターの飛行のほとんどがVFR)が禁止されており、空港の管制官の許可をとる必要があることから、他の候補地よりも「待機時間がかかる」ことが明らかに。4)

3.敷地面積が広いから、ベッド数も増やすことができる
福岡県が地域医療計画で定めている福岡・糸島医療圏の基準病床数は1万5681床で現在1万8823床と3000床も超過している上に、市は県と協議していなかったと。5)

と主張がことごとく論破された福岡市は
「病棟0.7ha+患者駐車場300台分0.9ha+緑地0.6haで最低でも3haは必要」(3ha確保できる候補地は人工島だけ)という主張しはじめ、さらに、7月29日の市議会委員会では
「職員用と業者用駐車場も200台分必要だし、将来立て替えするかもしれないからもっと土地が必要だ」と説明。(6

なんというか、

 〇∧〃 メリットが論破された?
 / >      でも、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ
 < \ 

ですね。

ちなみに市民が懸念している点については

4.人工島までのアクセスが悪い
市長「バス路線を走らせる。高速道路整備については善処しますが間に合わない。努力するが間に合わなかったら理解してもらうしかない」(7

5.患者には声が届かないという「疎外感がある」
市長「ちゃんと説明してきたが、患者は『うごかさないで』ではじまる。気持ちはわからないでもないができる限りのことはした」(7

6.なぜ人工島なのか
市長「療養環境がもっともいい」(7

が、その療養環境は、最悪っぽいです。

○アイランドシティの土地利用
アイランドシティの土地利用
出典:ふくおかアイランドシティ公式サイト

人工島の半分は、最新鋭国際コンテナターミナルが整備されるなど国際物流拠点として整備されているため、夜間でも明るく五月蠅い療養環境が予想されます。
実際、市側も「防音工事をしたり、遮へいブラインドなどを設置することで対応できるのではないか」と話しており(8、市が「対策しないといけない」と言っている土地を、「もっとも療養環境がいい」と言い切れる市長は、何を根拠に言っているんだかな状況です。

さらに気になるのが、特別管制区に入っているということ。

○福岡空港飛行経路図と重ねてみた地図
福岡空港飛行経路図と重ねてみた地図

人工島は福岡空港の滑走路の延長線上に近い位置にあるため出発経路・到着経路が近くを通っていることになります。

陸も空もうるさい病院の可能性があります。

「土地が大量に売れ残っていて財政が大変だから」という理由で
人工島に病院をつくることだけが目的になっている福岡市役所、福岡市長ですね。


1)【独走スクープ】人工島事業「見直し」のウソ こども病院移転問題 九州企業特報(2008.7.24)
2)大うそだった検証・検討 水増し工事費で現地建替えを否定 九州企業特報(2008.7.28)
3)怒れ!福岡市民 インチキ「検証・検討」にだまされた市民 九州企業特報(2008.7.29)
4)人工島ヘリポートは「特別管制区」 待機時間発生可能性 他より高かった! 九州企業特報(2008.7.29)
5)こども病院どこへ:福岡市説明会を前に/5止 医療バランス /福岡 毎日新聞(2008.7.3)
6)取得用地の広さ焦点に 人工島の新こども病院整備計画 建て替えや職員駐車場 3ヘクタールから拡大検討 西日本新聞(2008.7.30)
7)福岡市立こども病院:移転問題 「理解してもらうしかない」--市長会見 /福岡 毎日新聞(2008.7.29)
8)こども病院どこへ:福岡市説明会を前に/4 ヘリ搬送 /福岡 毎日新聞(2008.7.2)

◇参考リンク
新病院 福岡市役所
福岡市立こども病院・感染症センター
ふくおかアイランドシティ公式サイト  

Posted by パン at ◆2008年07月31日01:35

社会保障「5つの安心プラン」で安心になれるか?

社会保障「5つの安心プラン」 年金や医療、雇用の不安一掃 47NEWS
政府は29日、社会保障に関する緊急対策「5つの安心プラン」を決定した。医師不足対策として、救急や産科医療、へき地派遣の勤務医に対する財政支援を打ち出したほか、住居のないネットカフェ難民に対する就労資金貸与などの自立支援策など、計約160項目を盛り込んだ。
 (略)
高齢者政策として、65歳以上の希望者全員の継続雇用が可能になる仕組みを導入し、企業に雇用保険などで財政支援。働く高齢者が不利にならないよう在職老齢年金制度を見直す。老後の生活保障として基礎年金の「最低保障額」導入を検討課題に挙げた。

「安心のプラン」(社会保障の機能強化のための緊急対策~5つの安心プラン~)のPR版(PDF)や概要(PDF)、本文(PDF)は首相官邸ホームページに掲載されています。

「5つの安心プラン」の5つは

(1)高齢者政策 (2)医療 (3)子育て支援 (4)雇用政策 (5)厚労行政の信頼回復

の5つのことらしいです。で、160項目を1-2年以内に実施するとのこと。


ここで不安になったのが2つ。

1.「なんとか安心プラン」のフラグ立ってるね
2004年に、政府与党が打ち出した「年金100年安心プラン」ってのがありましたが
2005年→合計特殊出生率が1.3を切ったり(1.39まで回復するのを前提としていたプランです)
2007年→年金記録漏れが明らかになったりと・・・はじまって3年で安心できない状況へ

2.「○年以内に実施」のフラグ立ってるね
上でも触れた「年金記録問題」ですが

当初
安倍総理:「最後の1人に至るまで記録をチェックし、正しく年金をお支払いする」
舛添大臣:「年度内に基礎年金番号への統合やデータ照合をする」
12月
町村官房:「選挙ですから『年度内にすべて』と縮めて言った」
舛添大臣:「3月が終わればすべて年金問題がバラ色の解決ができているという誤解があった。『3月までに全部片付ける』とは言っていない」

2つのフラグを抱えている「5つの安心プラン」すごく不安です(´・ω・`)

◇参考リンク
主な報告書・答申書() 首相官邸ホームページ
舛添厚労相、町村官房長官が年金記録問題で開き直り MSN産経ニュース(2007.12.11)  

Posted by パン at ◆2008年07月30日22:31

札幌市、産科救急にかける金はないが子どもの医療費は無料化

試される大地 北海道の道都「札幌市」が、おかしなことをやりはじめています。

札幌市の産科救急体制は、二次救急と夜間の一次救急を札幌市産婦人科医会に所属している9医療機関が輪番で担っていますが、4年前より5機関も減少したなどの影響で担当医の負担が限界に達し、「ずっと前から言ってきたが、産婦人科は慢性的な人手不足で、受け持ち患者の診療と出産で手いっぱい。これ以上、救急を分担できない。どうにかしてくれ」との声があがりました。

この声を受け、産婦人科医会が札幌市に対し
「市の夜間救急センターに産婦人科医師を配置し、一次救急を担当。これで一次と二次を分離して、9医療機関の負担を減らそう。夜間救急センターに配置する担当医師は医師会が責任もつから」と要請。

現場の声を拾った市民にとっても現場にとってももっともいい現実的な案です。
しかも、「担当医師は医会が責任を持って探す」と言っているので、行政にとってもいい案でしょう。

と思っていたら、これに対する札幌市の回答は

1.札幌市当局
「夜間救急センターに医師を配置したら7000万円かかる。財源がないし、市民の合意も得られない。9医療機関への報酬を計1000万円増額(1医療機関あたり100万円ちょっと)するから、夜間一次も二次も全部なんとかしろ」

2.札幌市保健所長
「センターへの医師配置は最低でも4000万円かかる。財政が厳しく、市民に説明できない。だから2000万円で助産師や看護師を配置し、相談窓口を設置する」

3.札幌市消防局
「我々にとっては、はじめから二次救急に運びたい。窓口に電話をして救急対応が必要ないとなったときに『あなたは軽症ですから、朝になってから受診してください』と救急隊が説明し納得させるのは非常につらい。救急隊が二次が必要だと判断したら、一次を無視して、二次に運ぶのは問題ないですよね。当然の判断というわけで」

4.札幌市保健福祉局健康衛生部長
「市の事業の委託を受けて妊婦を受け入れているのだから、受け入れに伴う未収金を補填して欲しいとの意見がありましたが、そんなことしたら市民のモラルハザードをうむので、医療機関がちゃんと回収してください」

それぞれの部局で好き勝手な反論。

「市民の合意が得られない」
という部分は、協議会の市民代表は「撤退されたら困る。予算確保してやってくれ」と言っているのと真逆ですし

「2000万円で電話相談」
は、どう考えても4000万円で医師配置がいいに決まってますし

消防の意見については
「はじめから二次救急に運びたい」→そのせいで二次が限界に来ているのがはじまりだろ
「救急隊が説明し納得させるのは非常につらい」→必要なければそれを説明するのが仕事だろ
「当然の判断というわけで」→どんな体制になろうと二次に運びます宣言ですか?

と、5回以上、協議会を開いてみたものの改善する気が全くないようなので、産婦人科医会も諦めたようです。

札幌市産婦人科医会、2次救急当番制撤退 読売新聞(2008.7.24)
夜間、行き場がない軽症患者が2次救急を扱う9医療機関に搬送されるケースも多い。市のまとめでは、2007年に9医療機関に救急搬送された261人のうち、6割にあたる161人が軽症患者だった。

こうした現状に、市と医会、有識者などが3月に協議会を設置し、解決策を模索してきた。医会は、市に「医師の負担が増大している。夜間の1次救急は市の夜間急病センター(中央区)に産婦人科医を配置して対応し、2次救急と切り離してほしい」と要望した。これに対し、財政難を理由にセンターへの産婦人科医の配置に難色を示す市は、代替案として、10月から半年間、助産師などによる患者の相談窓口をセンターに設け、当番病院の負担軽減効果を検証することを提案した。しかし、医会側は「検証期間中も結局、患者は当番病院に回ってくる」(遠藤会長)として代替案を拒否したため、市は撤退はやむを得ないと判断した。


仕方ないですね。「産科救急体制維持ごときのためにお金は出せない」と市側が言っているのですから。


ところが、そんな札幌市は、2日後にこんな政策を打ち出しました。

未就学児を来月から無料 市医療費 入院以外、負担なし 北海道新聞(2008.7.26)
札幌市は八月から、四歳から小学校入学前までの子どもの医療費を、初診時負担金を除き原則無料にする。これにより、一定以上の所得のある世帯を除き、就学前の乳幼児は、入院以外の医療費の自己負担がなくなる。

乳幼児医療費助成の外来無料化拡充は
「コンビニ受診を招き、小児科崩壊を引き起こしかねない上に、少子化対策には意味がない」
という指摘があるのですが、それは予算を使って実施するようです。


○今すぐ予算措置が必要な産科救急→予算を充てず
○小児科崩壊の引き金になりかねない乳幼児医療費無料化の拡充→実施

札幌市って、やることなすこと「医療崩壊」に向かっています。


なお、「乳幼児医療費助成」ですが、個人的には
 ○慢性疾患を持っていて通院回数が増えてしまう
 ○症状や障害により、大量の吸引用のチューブやおむつなどの(保険適用外の)材料が必要
 ○入院が長期化している
といった場合に、どーんと補助する方が、いいと思います。


◇参考リンク
札幌市産婦人科救急医療対策協議会 札幌市  

Posted by パン at ◆2008年07月29日21:32